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対称削蹄法とは牛の後肢蹄は、基本的には非対称な形をしています。まだ、蹄餅のついた蹄でさえすでに大きさに違いがあります。もちろん蹄骨を見ても、内外を言うことができます。これは、外蹄には大きな力が加わる構造(牛のフットケアと削蹄P.27参照)なので成長も早く蹄壁も厚くなったと考えられます。長い進化の歴史の中で適応してきた結果と思われますが、自然の環境の中ではより多く伸びた蹄がより多く減ることでバランスし、問題はありませんでした。しかし、こういう形質を持ったまま人工的な環境で飼われるようになった結果、より多く伸びた蹄がより多くは減らないという問題が起きてきました。そして、ミルクを製造する機械かのように巨大に改良されてしまった牛にとっては、この内外蹄のアンバランスがわずかでも大変大きな問題になってしまいました。 削蹄の基本は、床に対して肢が垂直になるように蹄を削ることです。そのためには肢に垂直な面を内外蹄に作ることです。その方法として背壁を7.5cmにきったあと、蹄底を管骨の中心を通る趾軸に垂直に削る。そのとき、高い方の蹄から削り、低い方の蹄にもある程度の安定した面ができたところで削蹄をやめます。ここまでは結果においてダッチ・メソッドと変わりませんが、これでは内外蹄の負面面積に大きな差が残り、この差は削蹄後も縮まらず、内外蹄のアンバランスを作る誘因の一つになってしまいます。そこで、理想の蹄形を考案しました。それは左右対称の形で、これに近くなるように削蹄します。蹄壁も蹄球底も軸側壁も削ります。負面面積を同じくするために土踏まずのとり方を加減します。つまり、大きいほうから多く、小さい方から少し、または全然とらないというやり方で調整します。こうすることで、廃用萎縮していた内蹄踵も充実してきますし、蹄形の悪化を遅くすることができます。 |
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